傷病手当金申請書の書き方|本人・会社・医師の記入欄と電子申請

目次

結論|申請書は本人だけで完成させる書類ではありません

傷病手当金支給申請書は、協会けんぽの場合、本人だけですべてを記入するものではありません。
現在の様式では、1・2ページ目が被保険者、3ページ目が事業主、4ページ目が療養担当者の記入部分です。
申請前に「自分→勤務先→医師」のどこへ何を依頼するかを整理すると、記入漏れや差し戻しを防ぎやすくなります。

はじめに|「この4枚、全部自分で書くの?」と迷った方へ

たとえば病気やケガで仕事を休み、勤務先から「傷病手当金を申請できます」と案内された会社員が、申請書を開いたとします。

最初に出てきそうな疑問は、

「この書類は全部、自分で書くんですか?」
「会社にはどのページを渡せばいい?」
「病院にも持っていく必要がある?」

ではないでしょうか。

こうした相談で最初に確認したいのは、受給額より申請書を完成させるために誰の証明が必要なのかです。

協会けんぽの現在の案内では、申請書は被保険者・事業主・主治医がそれぞれ必要な項目を記入します。
紙だけでなく電子申請も利用できます。

この記事では、協会けんぽの現在の手続きを基準に、申請書を準備する順番を整理します。
健康保険組合などへ加入している場合は、加入先の様式・提出方法も併せて確認してください。

※以下は一般化した相談例です。
個人情報保護のため、一部の情報を変更しています。

傷病手当金申請書は誰がどこを書く?

1・2ページ目は本人が確認する

協会けんぽの現在の申請書は全4ページで、1・2ページ目が被保険者記入用です。
3ページ目を勤務先、4ページ目を療養担当者が記入します。

そのため、申請書を受け取ったら最初から4ページすべてを書こうとせず、

本人 → 会社 → 医師

と役割を分けて考えましょう。

本人側では、資格情報、振込先、申請する期間、仕事の内容などを確認します。

協会けんぽ青森支部は、実際に記入漏れが多い項目として2ページ目の「被保険者の仕事の内容」を挙げています。
単に「会社員」とだけ考えるのではなく、現在の申請書・記入例を見ながら必要事項を埋めることが大切です。

また、被保険者の記号・番号を記入した場合、協会けんぽの現在の申請書では個人番号(マイナンバー)の記入は不要とされています。

3ページ目は勤務先に証明を依頼する

3ページ目は事業主記入用です。

勤務状況や報酬の支給状況など、本人だけでは証明できない内容を会社側に記入してもらいます。

協会けんぽは、事業主記入欄について、

  • 勤務状況の年月の記入漏れ
  • 申請期間中の出勤日の確認
  • 休んだ日に給与が支払われた場合の報酬額
  • 給与が出ていない場合の扱い

などで記入誤りが生じることがあると案内しています。

ここは本人が推測して埋めるのではなく、勤務先の人事・総務などへ申請期間を伝え、証明を依頼する部分です。

「傷病手当金の書類があります」とだけ渡すより、

何月何日から何月何日までを今回申請する予定なのか

を本人側でも把握しておくと、本人欄と会社欄を照合しやすくなります。

4ページ目は医師など療養担当者へ依頼する

4ページ目は療養担当者記入用です。

傷病手当金は「病気の名前が書かれていればよい」という書類ではありません。
療養のため仕事に就けない状態だったことについて、医師等による意見・証明が必要です。

協会けんぽの電子申請でも、療養担当者記入用の証明を受けた書類を準備する仕組みになっています。

診察の際に突然お願いするより、

「傷病手当金を○月○日から○月○日まで申請したいのですが、申請書の証明をお願いできますか」

と申請期間を確認してから依頼すると整理しやすくなります。

本人が考えている休業期間、勤務先が証明する勤務状況、医師が証明する療養期間に食い違いがないかも提出前に確認したいポイントです。

まずは傷病手当金を正しく申請できるか確認しましょう。
そのうえで休業中の収入だけでは生活費が不足しそうな場合は、民間の所得補償も選択肢として確認できます。

紙と電子申請、どちらで申請できる?

協会けんぽでは電子申請が利用できます

2026年8月現在、協会けんぽは傷病手当金について電子申請サービスを案内しています。

電子申請では、システムによる記載漏れのチェックを受けながら入力でき、申請後の処理状況もスマートフォンやパソコンから確認できます。
紙で申請する場合は、加入している協会けんぽ支部へ郵送します。

したがって、協会けんぽ加入者なら、

紙で4ページを完成させて郵送する方法

本人が電子申請し、会社・医師の証明書類をアップロードする方法

を確認できます。

電子申請でも会社・医師の証明は必要

ここは勘違いしやすいところです。

「電子申請=全部自分のスマホだけで完結する」という意味ではありません。

協会けんぽの電子申請では、事業主記入用について勤務先から証明を受け、療養担当者記入用について医師等から意見を受けたうえで、必要なファイルをアップロードします。

入力・アップロード用PDFはパソコン用とされており、手書き用を利用した場合は、記入済みの紙を撮影してアップロードする方法も案内されています。

つまり、電子申請になって変わるのは主に本人から協会けんぽへの提出方法です。

会社や医師に証明を依頼する工程そのものがなくなるわけではありません。

申請前にそろえるものを5つに分ける

休業期間が分かるカレンダー

最初に確認したいのは「いつからいつまで仕事を休んだのか」です。

手帳、勤務表、スマートフォンのカレンダーなどで、

  • 最終出勤日
  • 休み始めた日
  • 途中で出勤した日
  • 有給休暇を使った日
  • 今回申請する期間

を一度整理します。

本人欄・勤務先欄・医師欄を別々に準備すると期間がずれやすいため、最初に時系列を一本にするのがポイントです。

資格情報が分かるもの

協会けんぽでは、紙の申請書に記号・番号を記入した場合、マイナンバーの記載は不要です。
また紙の申請先となる支部は、「資格情報のお知らせ」やマイナポータルの健康保険資格情報などから確認できます。

申請書を書き始める前に、加入している健康保険そのものを確認してください。

振込先口座

本人記入欄では振込先も確認します。

金融機関名や支店名などは、記憶だけで書かず、通帳・キャッシュカード・銀行アプリ等で現在の表示を確認しておくと記入間違いを防ぎやすくなります。

勤務先へ渡す事業主記入部分

勤務先側に証明してもらうページを切り離したり、必要以上に書き込んだりする前に、勤務先の担当部署へ提出方法を確認します。

会社によっては「申請書一式を総務へ提出してください」「本人記入部分を先に完成してください」など社内手順が設けられていることも考えられるため、社内の案内があればそれに従います。

医師へ依頼する療養担当者記入部分

診察時には、

  • 傷病手当金を申請すること
  • 申請したい期間
  • 現在の休業状況

を伝えたうえで、療養担当者記入用の証明を依頼します。

協会けんぽは4ページ目を療養担当者記入用としており、電子申請でもこの証明が必要です。

申請書で特に確認したい3つのポイント

申請期間が3者でずれていないか

本人が「1か月休んだ」と考えていても、会社の勤怠記録、医師が仕事に就けないと判断した期間が必ず同じとは限りません。

申請書は本人・会社・医師が別々に記入するからこそ、提出前に期間を照合します。

特に途中で数日出勤した、半日勤務した、有給休暇を使った、復職後に再び休んだ、といった場合は時系列を確認しておきましょう。

会社の給与証明を自分で判断しない

協会けんぽは、申請期間のうち出勤していない日に給与を支給した場合、事業主記入欄へ支給日や金額を記載するよう案内しています。

一方、支給がない場合には「0円」と記入する必要はないとされています。
誤って給与が支給されたと記入すると、傷病手当金の支給額へ影響する可能性もあるため、会社側で正確に証明してもらいます。

古い様式を使っていないか

協会けんぽは2023年に申請書様式を変更しており、現在も新しい様式での提出を案内しています。

協会けんぽ青森支部は、旧様式を使用すると新様式より処理に時間がかかる場合があるとして、現在の公式サイトから最新様式を取得するよう案内しています。
ページは2026年6月にも更新されています。

以前ダウンロードしたPDFをパソコンに保存している方は、使い回さず現在の公式ページから確認した方が安全です。

申請後は「いくらもらえるか」より家計の不足額を確認する

この新記事の役割は申請完了まで

ここで既存記事との役割をはっきり分けます。

この記事で解決する中心テーマは、

傷病手当金の申請書を、誰に何を依頼し、どう提出するか

です。

支給額や所得補償保険そのものを詳しく説明する記事ではありません。

傷病手当金の申請を進めたあと、

「休業中の収入で家賃や生活費まで足りるだろうか」

という次の疑問が出てきたら、そこで初めて生活費の確認へ進みます。

サイト内の40代独身女性の『もしも』の時の不安に備える医療保険と所得補償Web完結ガイドでは、医療費と生活費を分けて考える方法を整理しています。
現在の記事でも、傷病手当金への言及はありますが、中心テーマは「働けなくなったときの生活費と保障」です。

『病気やケガで』で収入が途絶えたときに、お給料のように受け取れる保険はないの~50代女性の心配を所得補償保険で解決では、自宅療養などで収入が減る場合の民間の所得補償を扱っています。

また、入院・手術と仕事を休む期間の両方が気になる場合は、万一の医療費と収入減が怖い50代女性介護へ~医療保険と所得補償で、医療費と所得補償を分けて整理できます。

つまり、

新B-2=申請書の実務
既存記事=傷病手当金後に残る生活費・所得補償

と役割を分けます。

傷病手当金の申請方法を確認したあと、実際の休業期間に毎月の生活費が不足する可能性がある方は、その不足部分をどう備えるか確認できます。

よくある質問

Q1.傷病手当金申請書は本人だけで書けますか?

協会けんぽでは、本人だけでは完成しません。

申請書は被保険者、事業主、主治医がそれぞれ必要項目を記入します。
現在の紙様式では1・2ページ目が被保険者、3ページ目が事業主、4ページ目が療養担当者の記入部分です。

Q2.傷病手当金の申請書はどこでもらえますか?

協会けんぽ加入者の場合、公式サイトから手書き用・入力用の申請書を取得できます。現在は電子申請も案内されています。

Q3.電子申請なら会社や医師に書いてもらわなくてよいですか?

いいえ。

協会けんぽの電子申請でも、事業主による証明と療養担当者による意見を受け、その書類をアップロードします。

Q4.申請してからいつ振り込まれますか?

協会けんぽは、審査の結果支払い可能な場合、受付から10営業日以内に支払うと案内しています。
ただし個別の進捗状況は加入している支部へ確認する必要があります。

Q5.以前ダウンロードした申請書でも使えますか?

古い様式をそのまま使用せず、提出時点の公式様式を確認することをおすすめします。

協会けんぽは2023年に申請書様式を変更しており、旧様式の場合は処理に時間がかかる場合があると案内しています。

まとめ|4枚を「自分・会社・医師」に分ければ申請は整理しやすい

傷病手当金の申請書を開いて「どこから書けばよいのか分からない」と感じたら、4ページ全部を一度に理解する必要はありません。

協会けんぽの現在の紙様式なら、

  1. 1・2ページ目=本人
  2. 3ページ目=勤務先
  3. 4ページ目=医師等の療養担当者
  4. 申請期間を3者で照合
  5. 紙または電子申請で提出

という順番で整理できます。

手元には、資格情報、休業日が分かるカレンダー、勤務状況、振込先、現在の申請書を準備しておきましょう。

そして、申請ができた後に初めて、

傷病手当金などの収入で毎月の生活費をどこまで払えるのか

を確認します。

公的制度や勤務先制度、貯蓄で十分なら民間保険を追加しない選択もあります。
それでも不足が残る場合だけ、所得補償を選択肢として検討する。この順番なら、「保険ありき」ではなく、実際に不足する部分から考えられます。

傷病手当金や勤務先制度を確認しても休業中の生活費に不足が残る場合は、所得補償で備えられる範囲を確認してください。

本記事は保険に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の保険会社や商品を推奨するものではありません。
具体的な商品内容、加入条件、保障・補償範囲は、契約概要、注意喚起情報、約款等をご確認ください。

参考資料・出典

執筆者プロフィール

(株)ライフ・アート谷口
(株)ライフ・アート谷口
三重県鈴鹿市の保険代理店(株)ライフ・アート 代表取締役。
大学卒業後、国内大手生命保険会社へ総合職として入社し主に教育関連職や拠点管理職を歴任。その後、独立し(株)ライフ・アートを設立。