体外受精・顕微授精中でも医療保険に入れる?申込前に確認したいポイント

結論|体外受精・顕微授精中は「治療中だから無理」と決めない

体外受精や顕微授精を受けているからといって、医療保険への申込みについて一律に結論を出すことはできません。

まず確認したいのは、現在どの治療段階にいるか、どのような診察・検査・投薬を受けているか、今後の治療予定がどうなっているかです。

生命保険の契約では、現在の健康状態や過去の傷病歴などについて、告知書や保険会社指定の医師から質問された事項を事実に沿って告知します。
傷病歴があっても、通常どおり契約できる場合や特別な条件が付く場合などがあり、結果は個別に異なります。

体外受精・顕微授精という治療名だけから、自分で「入れる」「入れない」を判断しないことが大切です。

はじめに|「体外受精まで進んだら医療保険はもう無理ですか?」

不妊治療が進み、人工授精から体外受精や顕微授精へ移ると、

「ここまで治療が進んでいると医療保険には入れない?」

「採卵をしたことは告知する?」

「胚移植の予定がある場合はどうなる?」

と心配になる方もいるでしょう。

厚生労働省では、体外受精・顕微授精を「生殖補助医療」と位置づけており、2022年4月から基本的な治療について公的医療保険が適用されています。

ただし、公的医療保険が適用されることと、新しく民間医療保険へ加入するときの診査は別の話です。

医療保険を検討するときは、保険適用かどうかだけを見るのではなく、現在の診療状況を整理する必要があります。

不妊治療中の医療保険について全体像を確認したい方は、不妊症治療中でも安心して加入できる医療保険とは?30代40代の女性のための保険選びポイントも参考にしてください。

この記事では対象をさらに絞り、体外受精・顕微授精まで治療が進んでいる方の申込準備を整理します。

体外受精・顕微授精中はまず治療段階を確認する

「体外受精中」といっても、実際の状態は同じではありません。

申込前は、今どこにいるのかを具体的に整理します。

1.採卵に向けた治療・投薬中

採卵前には、治療方針に応じて薬を使用する場合があります。

この段階では、

  • 現在通院中か
  • 使用している薬があるか
  • 採卵予定が決まっているか
  • 次回受診日はいつか
  • 別の病気の診断を受けていないか

などを確認します。

保険のために治療内容を医学的に判断する必要はありません。

申込時に質問される内容へ回答できるよう、事実を整理することが目的です。

2.採卵・体外受精・顕微授精を行っている

厚生労働省が示す生殖補助医療の基本的な流れには、採卵、採精、体外受精または顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植などがあります。

この段階なら、

  • 採卵をいつ行ったか
  • 現在も治療を継続しているか
  • 医療機関からどのような説明を受けているか
  • 次の治療予定が決まっているか

を確認します。

治療名だけを記憶するより、診療明細や治療計画書などを見ながら整理すると正確です。

3.胚移植を予定している・実施している

採卵が終わっていても、治療そのものが終了しているとは限りません。

胚移植を予定している場合や、移植後に受診が続いている場合は、その時点の診療状況を整理します。

「採卵が終わった=治療終了」と自己判断せず、医療機関でどのように扱われているかを確認してください。

4.治療を一時中断している

仕事や体調などの理由で、一時的に治療を止めている方もいます。

この場合も、

「病院へ行っていないから治療終了」

と置き換えないことが大切です。

最後に受診した時期、現在の医師の指示、次回受診予定、再開予定などを確認します。

治療段階を整理できたら、実際の医療保険の告知項目と照らし合わせます。


採卵・移植など現在の治療段階と次回の予定を整理したうえで、実際の告知項目と保障内容を確認してみましょう。

申込前に「通院・投薬・処置・今後の予定」を整理する

体外受精や顕微授精を受けている方の場合、告知書を見てから情報を探し始めると混乱しやすくなります。

申込前に4つに分けて確認すると整理しやすくなります。

1.通院状況

最初に確認したいのは、

  • 初めて受診した時期
  • 最終受診日
  • 現在も通院中か
  • 通院間隔
  • 次回予約

です。

「何年前から不妊治療をしているか」だけではなく、現在の状態まで整理します。

2.投薬状況

薬を使用している場合は、

  • 薬の名称
  • 使用目的
  • 使用開始時期
  • 現在使用しているか

を確認します。

薬の名前が分からない場合は、お薬手帳や医療機関・薬局から渡された資料を確認します。

3.採卵・移植などの診療内容

体外受精・顕微授精では複数の診療段階があります。

いつ、どの処置を受けたのかを診療明細などで確認しておきましょう。

ここで重要なのは、自分で「これは手術」「これは手術ではない」と決めることではありません。

告知書の質問に照らして必要な事実を整理します。

一般的な告知の考え方は、医療保険の告知はどこまで?通院歴の書き方を具体例で解説でも確認できます。

4.今後の治療予定

これから、

  • 採卵予定
  • 胚移植予定
  • 追加検査予定
  • 投薬継続予定
  • 次回診察予定

などがあるかも確認します。

生命保険の告知では、実際の告知書に記載された質問を読み、現在の健康状態や傷病歴などについて事実を回答することが基本です。

したがって、

「治療中だから全部書く」

「体外受精は病気ではないから何も書かない」

といった決め方ではなく、質問された事項と自分の診療記録を照合するのが順番です。

体外受精・顕微授精の「保険適用」と医療保険加入は分けて考える

ここは混同しやすいところです。

体外受精や顕微授精は、一定の条件のもとで公的医療保険の対象になっています。
厚生労働省は、人工授精などの一般不妊治療と、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療について2022年4月から保険適用としています。

しかし、

公的医療保険の対象になっている=民間医療保険へ必ず加入できる

という意味ではありません。

反対に、

体外受精を受けている=民間医療保険へ申し込めない

とも一律には言えません。

公的医療保険は治療費の制度

公的医療保険で確認するのは、どの治療が保険診療になるかという話です。

体外受精・顕微授精などの基本治療が対象となる一方、治療内容によって保険適用、先進医療など取扱いが分かれるものもあります。

民間医療保険は契約時の診査を確認する

新しく民間医療保険へ申し込む場合は、現在の健康状態や治療歴などを告知し、保険会社の診査を受けます。

傷病歴がある場合でも、商品や内容によって通常どおり契約できる場合、特別条件が付く場合などがあります。

そのため、治療方法の名称だけを見て加入結果を予測しません。

先進医療も別に確認する

不妊治療では、一部の治療について「先進医療」という言葉を目にする場合があります。

現在加入している医療保険に先進医療特約がある方でも、特約が付いているだけで給付対象とは断定できません。

治療技術、実施医療機関、受療時点の制度、契約内容などを分けて確認する必要があります。

詳しくは、先進医療特約は必要?高額療養費との違いと付ける前の判断基準で整理しています。

現在の治療と告知内容を整理できたら、次は必要な保障内容を確認します。


公的医療保険と民間医療保険を分け、現在の治療・告知内容を整理できたら、必要な入院・手術保障を確認してみましょう。

申込前は治療を止めるのではなく、手元の資料をそろえる

医療保険を検討すると、

「次の治療へ進む前に申し込んだほうがいいのでは」

と思うかもしれません。

しかし、保険への申込みを目的に、医師から必要とされている治療や検査を自己判断で遅らせるべきではありません。

医療については主治医との相談を優先してください。

保険側でできる準備は、診療状況を正確に整理することです。

手元に用意したいもの

可能であれば、

  • 診療明細
  • 領収書
  • 治療計画書
  • 検査結果
  • お薬手帳
  • 薬の説明書
  • 次回予約票
  • スマートフォンの診療予約履歴

などを確認します。

すべてそろっていなくても構いません。

分からない情報を想像で埋めるより、確認できる事実を整理することが重要です。

診査結果を先に決めつけない

「体外受精をしているから通常の医療保険は無理だろう」

と、自分だけで申込みを諦める必要はありません。

一方で、

「入院していないから問題ないはず」

と決めるのも避けます。

生命保険文化センターも、健康状態や傷病歴によって契約できない場合がある一方、通常どおり契約できる場合や特別条件付きとなる場合などがあると説明しています。

告知する事実と、保険会社の診査結果は別のものとして整理しましょう。

よくある質問

Q1.体外受精中でも医療保険へ申し込めますか?

申込みについて検討することはできますが、契約できるか、どのような条件になるかは一律ではありません。

現在の治療状況、通院・投薬、過去の傷病歴など、実際の告知内容をもとに保険会社が個別に判断します。

Q2.採卵をしたことは告知しなければいけませんか?

採卵という名称だけで一律に判断しません。

実際の告知書で、診察・検査・治療・手術などについて何をどの期間まで質問しているかを確認し、質問に該当する事実を回答します。

Q3.顕微授精は公的医療保険の対象ですか?

基本的な顕微授精は、2022年4月から公的医療保険の対象となっています。年齢・回数など一定の条件が設けられています。

なお、公的医療保険の適用と、民間医療保険への新規加入の診査は別に確認します。

まとめ|体外受精中は「治療段階→告知→保障」の順で確認する

体外受精・顕微授精を受けている方が医療保険を考えるときは、治療名だけで加入可否を判断しません。

最初に、

今どの治療段階にいるのか

を確認します。

採卵前なのか、採卵済みなのか、胚移植を予定しているのか、現在治療を一時的に中断しているのかを整理します。

次に、

通院・投薬・診療内容・今後の治療予定

を資料から確認します。

そのうえで、実際の告知書に書かれた質問と照らし合わせます。

体外受精・顕微授精が公的医療保険の対象であることと、新しい民間医療保険の診査は分けて考えてください。

「治療中だから無理」と諦める必要も、「公的保険が使えるから民間医療保険も大丈夫」と考えることもありません。

現在地を正確に整理し、告知をしたうえで個別の診査結果を確認するのが基本です。


現在の治療段階、通院・投薬、今後の予定を整理したうえで、告知項目と必要な保障を確認しながら医療保険を検討してみましょう。

情報基準日:2026年9月25日

本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な加入可否、告知項目、診査結果、保障内容、給付条件は保険会社・商品・契約内容・個別の健康状態等によって異なります。実際の申込みでは告知書、契約概要、注意喚起情報、約款等をご確認ください。

参考資料・出典

執筆者プロフィール

(株)ライフ・アート谷口
(株)ライフ・アート谷口
三重県鈴鹿市の保険代理店(株)ライフ・アート 代表取締役。
大学卒業後、国内大手生命保険会社へ総合職として入社し主に教育関連職や拠点管理職を歴任。その後、独立し(株)ライフ・アートを設立。