休職中の社会保険料はどうなる?給与ゼロでも健康保険・厚生年金を確認

結論|給与がゼロでも社会保険料が自動的にゼロになるとは限らない

病気やけがで休職し、会社からの給与がゼロになっても、健康保険料や厚生年金保険料が自動的にゼロになるとは限りません。

私傷病による休職で雇用関係が続き、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格も続いている場合は、社会保険料の負担が続くことがあります。

「給料がないのだから、給与から引かれていた保険料もなくなるはず」と考えると、休職後に会社から支払いの案内が届いて驚くことがあります。

まず確認したいのは、次の3点です。

  1. 健康保険・厚生年金の資格が続いているか
  2. 現在の標準報酬月額はいくらか
  3. 給与から天引きできない本人負担分をどう支払うか

社会保険料を家計へ反映するときは、毎月の給与額だけでなく、会社からの案内まで確認してから金額を入れましょう。

はじめに

休職して最初の給与明細を見たとき、「給料が0円なら、社会保険料も0円になるのでは」と思う方もいるでしょう。

ところが、給与がなくなったことと、社会保険の資格がなくなったことは同じではありません。

ここが休職中のお金で分かりにくいところです。

健康保険や厚生年金の保険料は、その月に実際にもらった手取り給与だけを見て決める仕組みではありません。

保険料の計算には、原則として標準報酬月額などが使われます。

そのため、無給になった直後に社会保険料まで同じようにゼロになるとは限らないのです。

この記事では、私傷病による休職中の会社員を中心に、健康保険料と厚生年金保険料を整理します。

税金や傷病手当金の金額計算まで一度に広げず、まず毎月出ていく社会保険料を確定させていきましょう。

休職中も健康保険・厚生年金の資格が続いているか確認する

最初に確認するのは「保険料はいくらか」ではありません。

自分の健康保険・厚生年金の被保険者資格が現在も続いているかです。

無給休職でも雇用関係が続いている場合がある

厚生労働省は、病気休職などで賃金の支払いが停止していても、使用関係が続いており被保険者資格を喪失する必要がないと認められる場合について、社会保険料の負担が続く考え方を示しています。

つまり、

「給与がなくなった」

ことだけで、

「健康保険と厚生年金から外れた」

とは判断できません。

休職通知書や会社からの案内を確認し、分からなければ人事・総務へ確認してください。

長期の休職では資格の扱いを確認する

休職という名前が付いていれば、どのような状態でも必ず同じ扱いになるわけではありません。

厚生労働省の取扱いでも、実質的な使用関係が続いているかなど、具体的な状況を踏まえて判断する考え方が示されています。

そのため、長期の休職になった場合や退職を検討する段階では、以前と同じ資格が続いていると自己判断しない方が安全です。

この記事では、会社との雇用関係が続き、健康保険・厚生年金の被保険者資格も続いている私傷病休職を前提に整理します。

なぜ給料0円でも社会保険料が発生することがある?

「今月の給与が0円なのに、なぜ保険料を払うのだろう」

ここは、標準報酬月額を理解すると整理しやすくなります。

保険料はその月の手取りだけで決まるわけではない

厚生年金保険料は、標準報酬月額などをもとに計算されます。

日本年金機構では、事業主と被保険者が厚生年金保険料を半分ずつ負担する仕組みを示しています。

健康保険・厚生年金保険の被保険者負担分は、通常であれば給与から差し引かれ、会社負担分と合わせて事業主が納付します。

そのため、給与が通常どおり支払われているときは、自分で毎月支払っている感覚が薄いかもしれません。

休職して給与がなくなると、この「給与から差し引く」という流れが使えなくなります。

そこで、本人負担分をどう精算するのかを会社へ確認する必要が出てきます。

給与0円=標準報酬月額0円とは限らない

日本年金機構では、病気欠勤などによって4月・5月・6月に報酬をまったく受けない場合の定時決定について、従前の標準報酬月額で決定する取扱いを示しています。

つまり、休職によって実際の給与が0円になったことだけで、標準報酬月額まで直ちに0円になるわけではありません。

ここを知らないと、

「今月は無給だから社会保険料もないだろう」

と家計を組んでしまうことがあります。

保険料の金額を自分で推測せず、現在の標準報酬月額と本人負担額を勤務先へ確認しましょう。

給与から天引きできない社会保険料はどう支払う?

通常は給与から差し引かれていた本人負担分も、無給になると同じ方法では処理できません。

そこで確認したいのが、「いつ、どの方法で会社へ精算するか」です。

最初に会社からの案内を確認する

休職に入るときに、会社から社会保険料の支払い方法について案内がある場合があります。

休職通知書、給与担当からのメール、社内システムのお知らせなどを確認してください。

見つからなければ、人事・総務または給与担当へ確認します。

ここで大切なのは、インターネット上の一般的な例をそのまま自分の会社へ当てはめないことです。

本人負担分をどの時期・方法で精算するかは、勤務先からの案内を確認する必要があります。

人事・総務には5つ確認する

会社へ確認するときは、「社会保険料はいくらですか」だけで終わらせない方が後で困りません。

次の5点を一緒に確認すると整理しやすくなります。

  1. 健康保険の被保険者資格は現在も続いているか
  2. 厚生年金の被保険者資格は現在も続いているか
  3. 毎月の本人負担額はいくらか
  4. 何月分から給与天引きができなくなるか
  5. 天引きできない分をいつ、どの方法で精算するか

たとえば、会社指定の方法で都度支払うのか、復職後の精算になるのか、それ以外の方法なのかを確認します。

方法を推測して先に送金するのではなく、会社の案内に従ってください。

「何月分の保険料か」まで確認する

社会保険料は、給与の支給月と保険料の対象月がずれることがあります。

日本年金機構では、事業主が当月支払う給与から前月の標準報酬月額にかかる保険料を差し引くことができる仕組みを示しています。

そのため、最後に給与が入った月の控除を見ただけでは、休職後に本人負担分が残っているか判断しにくい場合があります。

会社へ確認するときは、

「この支払いは何月分の社会保険料ですか」

まで聞いておくと、二重に家計へ計上するのを避けやすくなります。

休職中の社会保険料は4つの資料で確認する

体調が良くない時期に、制度を一から調べるのは負担になります。

資料を先に集め、分からないところだけ会社へ聞く方が整理しやすくなります。

1.直近の給与明細

まず、休職前の給与明細を確認します。

健康保険料と厚生年金保険料が毎月いくら差し引かれていたかを見ます。

ただし、過去の給与明細に記載された金額が、休職中も必ず同じだとは決めつけません。

最終確認は会社からの案内で行います。

2.休職通知書・休職規程

次に、休職開始日と休職期間を確認します。

給与がなくなる時期だけでなく、雇用関係がどのように扱われているかを確認する手掛かりになります。

3.会社からの社会保険料案内

給与天引きができなくなった後の本人負担分について、会社から支払方法の案内があれば保管しておきます。

確認したいのは「金額」「対象月」「期限」「支払方法」です。

金額だけを見ず、何月分なのかまで確認してください。

4.標準報酬月額が分かる情報

現在の標準報酬月額が分からない場合は、勤務先へ確認します。

「給与が0円だから標準報酬月額も0円だろう」と推測しないことが大切です。

ここまで確認できれば、休職中の固定支出として社会保険料を家計に入れやすくなります。

休職中に入る傷病手当金の金額や期間、申請方法を確認したい場合は、傷病手当金はいくら?支給額・期間・申請方法をわかりやすく解説で整理できます。

適応障害による休職で、給与・傷病手当金・生活費全体の確認順を知りたい場合は、適応障害で休職すると給料は?傷病手当金・申請・生活費を解説も参考になります。

固定支出が分かったら治療費は別の財布で確認する

社会保険料が分かると、休職中に毎月出ていくお金が一つ具体的になります。

ただし、社会保険料と病院へ支払う治療費は分けて考えましょう。

健康保険料を払っていることと、医療機関の窓口で自己負担が発生することは別の話です。

休職中に通院、入院、手術などがある場合は、公的医療保険の仕組みを確認し、その後に現在加入している医療保険の保障内容を確認します。

ここでも、社会保険料の負担を民間の医療保険で埋めるという考え方はしません。

医療保険は、契約内容に応じた入院や手術などの保障を確認するためのものです。

治療費の支払い時期や高額療養費、現在加入している保険からの給付を時系列で確認したい方は、精密検査から治療へ|高額療養費と医療・がん保険の支払い時期を整理も確認してください。

社会保険料という固定支出と、治療にかかるお金を別々に整理すると、どこに不足があるのかが見えやすくなります。

固定支出とは別に治療費への備えを確認したい場合は、公的医療制度と現在の保障を整理したうえで、必要な範囲だけ医療保険を確認できます。

よくある質問

休職して給与が0円なら社会保険料も0円ですか?

一律に0円とはいえません。

病気休職で雇用関係と被保険者資格が続いている場合、給与が支払われていなくても社会保険料の負担が続くことがあります。

勤務先へ資格と本人負担額を確認してください。

休職したら健康保険から外れますか?

休職したという理由だけで、一律に資格を失うとは限りません。

雇用関係・使用関係の状況などによって扱いを確認する必要があります。

現在の資格がどうなっているかは勤務先へ確認してください。

給与がないのに会社から社会保険料を請求されるのはなぜですか?

健康保険・厚生年金の資格が続き、社会保険料の本人負担が発生していても、給与が0円なら通常の給与天引きができません。

そのため、本人負担分をどのように精算するか会社から案内される場合があります。

金額、対象月、期限、支払方法を確認してください。

給与が0円になれば標準報酬月額も0円になりますか?

給与が0円になったことだけで、直ちに標準報酬月額が0円になるとは限りません。

日本年金機構では、病気欠勤などで一定期間報酬をまったく受けない場合に、従前の標準報酬月額で決定する取扱いも示しています。

自分の標準報酬月額は会社へ確認してください。

まとめ

休職中の社会保険料を確認するときは、「給与があるか、ないか」だけで判断しないことが大切です。

まず、健康保険と厚生年金の被保険者資格が続いているかを確認します。

次に、現在の標準報酬月額と本人負担額を確認します。

そして給与から天引きできない場合は、何月分を、いつ、どの方法で会社へ精算するのかを確認します。

確認する順番は、

資格
→標準報酬月額
→本人負担額
→支払方法

です。

この4つが分かれば、「給料がないのに、あとからいくら請求されるのだろう」という曖昧な不安を、毎月の固定支出へ置き換えられます。

休職中は、入ってくるお金だけを確認しても家計の全体像は見えません。

社会保険料のように、給与が減っても続く可能性がある支出も一つずつ確認することが大切です。

そして治療費については社会保険料とは別に、公的医療制度と現在の医療保障を整理しましょう。

一度に全部理解する必要はありません。

まず会社へ「健康保険と厚生年金の本人負担は、何月分を、いくら、どう支払いますか」と確認するところから始めれば十分です。


休職中の固定支出とは別に治療費への備えを確認したい場合は、公的制度と現在の保障を整理したうえで医療保険を検討できます。


個人情報保護のため、一部の情報を変更しています。

※本記事は2026年9月7日時点で確認できる公的制度・公開情報等をもとに作成しています。

本記事は保険に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の保険会社や商品を推奨するものではありません。

具体的な商品内容、加入条件、保障・補償範囲は、契約概要、注意喚起情報、約款等をご確認ください。

参考資料・出典

執筆者プロフィール

(株)ライフ・アート谷口
(株)ライフ・アート谷口
三重県鈴鹿市の保険代理店(株)ライフ・アート 代表取締役。
大学卒業後、国内大手生命保険会社へ総合職として入社し主に教育関連職や拠点管理職を歴任。その後、独立し(株)ライフ・アートを設立。